Office Guriの諸橋直子です。犬の手作りごはんを作って14年目になります。
さて今日は年末も近いので「犬に年越しそば」の話をします。
手作りごはんのいいところは、犬と一緒に季節の食事を楽しめるところです。我が家もすでに、年末に向けて生蕎麦を準備しています。
今日から蕎麦について栄養学的視点、薬膳の視点、両方で解説していきます。今回は栄養学の視点です。
蕎麦の栄養価
蕎麦は蕎麦の実からからつくるそば粉を原料としています。蕎麦は日本では昔から栽培されている穀物で痩せた土地、寒冷地でも栽培可能です。
ちなみに私が住む北海道はそば粉の一大産地です(新得町が有名)。平成29年度は全国のそば粉生産量の50%以上を占めています。
秋になると新そばが出るので、味や香りを楽しめます。蕎麦好きには嬉しいですね。
さて、その蕎麦ですが犬の体にもメリットがある栄養素がいっぱいです。
そば粉のタンパク質はアミノ酸バランスが良い
一般的に植物性の食材に含まれるタンパク質はアミノ酸バランスが悪いです。(ただし、大豆を除く)
タンパク質の原料となるアミノ酸。私たち生物が利用するアミノ酸は「20種類」です。
そのうち、体内で合成できないか、合成できてもほんのわずかなので必ず食事から摂る必要があるアミノ酸を「必須アミノ酸」と呼びます。
必須アミノ酸。人は9種類。犬は10種類です。犬の必須アミノ酸は以下の通り:
- アルギニン
- ヒスチジン
- イソロイシン
- バリン
- ロイシン
- メチオニン
- スレオニン
- リジン
- トリプトファン
- フェニルアラニン
人の必須アミノ酸に「アルギニン」を加えたものが犬の必須アミノ酸です。
食品にこの「必須アミノ酸」がバランスよく含まれていることことが体内でその食品を効率よくタンパク質として利用するための必須条件です。
アミノ酸バランスが悪いと、いくらたくさん食べても体内でタンパク質として利用できる比率が低いです。そのため自分の毛や皮膚、筋肉の材料として使いにくいですね、という話。
アミノ酸スコアの話
利用効率の悪いタンパク質の代表としてよく挙げられるのが「小麦」です。
アミノ酸バランスを示す数値に「アミノ酸スコア」というものがあります。
人間の必須アミノ酸を基準にした数値ですが、犬の場合でもほどほどに参考になります。
この数値で見た場合、小麦粉(薄力粉)のアミノ酸スコアは42。100が満点なのでアミノ酸バランスはあまり良いとは言えません。
(ただし、食品の評価はアミノ酸スコアだけで決まるものではもちろんありません。小麦には小麦の、別の側面で良いところがあります)
さて、今回のテーマである蕎麦は?というと、アミノ酸スコアは61(1985年FAO/WHO/UNU)。
これは小麦粉65%、そば粉35%の場合の蕎麦の数値です。これがそば粉100%、全粒粉になるとアミノ酸スコアが100に上がります。
蕎麦は植物性のタンパク源としては珍しくアミノ酸スコアが高いんですね。
なのでもし、年末に機会があれば「そば粉のみで作った十割蕎麦」を選ぶとアミノ酸バランス的には非常に良いですよ、という話。
そばの配合は個人的な好みが別れます。十割蕎麦のザラザラした食感が好き、という方もいれば、小麦粉をつなぎに使った、なめらかな蕎麦が好き、という方もいらっしゃるでしょう。
結論を言うと「蕎麦は植物性食品としては珍しく、タンパク源として優秀ですよ」ということです。
蕎麦はビタミン類も豊富
糖質をエネルギーに変える際に必要なビタミンB1。ビタミンCを活性化し、毛細血管を丈夫にするビタミン様物質の「ルチン」が含まれます。
特にルチンは蕎麦に顕著な成分で、生蕎麦を茹でたそば湯にたっぷりと含まれます。
蕎麦湯を飲むことは栄養学的にも理にかなっているということです。もし、年末に生蕎麦を茹でる機会があれば、冷まして飲みやすくしたものをぜひ犬にも飲ませてあげてください。
ビタミンB1は糖質代謝の欠かせないビタミンです。精神安定、疲労回復効果が期待されます。
せっかくの機会なので、犬もぜひ年越しそばを
色々と蕎麦の栄養学的メリットについて書きましたが簡単にいうと「年末ですし、せっかくなので犬も一緒に蕎麦を楽しんではいかがですか?」それだけです。
犬と一緒に季節のご飯を楽しむのは単純に面白いです。そのメニューが犬の体にも良いとなれば、一石二鳥ですよね。
加えて栄養学的にも、蕎麦は優れていますよ、というお話でした。
蕎麦についての簡単なまとめ記事はこちらにもおいてありますので必要に応じてブックマークしてください。
次号のメールでは、蕎麦の「薬膳的効用」をお話しします。
薬膳の視点で見ても、蕎麦は優秀。お楽しみに。