Office Guriの諸橋直子です。久々の配信となります。
年末が近づいてきましたね。そこで今回は年末年始、何か犬のために役立つことを勉強してみたいという方向けに、手軽に読める本を1冊ご紹介しようと思います。
犬のアロマテラピーや、手作りごはんに関心のある方は「へー、そういうことなんだ!」と楽しめるのではないかと思います。
というわけでご紹介するのは『植物はなぜ薬を作るのか』という書籍です。
『植物からの万能薬 ポリフェノール』
犬のアロマテラピーも、手作りごはんも共通事項は「植物」です。アロマの精油は植物由来ですし、手作りごはんでも野菜を使います。精油の香りを嗅ぐことで犬はリラックスでき、野菜を色々と食べることで、犬は植物に特有の栄養素を摂取できます。こんな風に有用な「植物」について、著者の斉藤和季さんが薬学博士の視点でわかりやすく解説してくれるコラム集がこの本です。
ではなぜこの本が、犬の飼い主さんにおすすめなのか?というと
「なぜアロマテラピーは犬に良い効果をもたらすのか?」
「犬に野菜を与えることは、どう犬の健康に貢献するのか?」
について、科学的な視点からの理解が深まるからです。
今回は「食事」にフォーカスして、ポリフェノールを取り上げます。『植物からの万能薬 ポリフェノール』というのは、この書籍の小見出しのひとつです。
ポリフェノールという言葉は、実際にみなさんもよく耳にすると思います。でも実際に、何がどう私たちの体に良いの?ということについては、ぼんやりとしか知らないというのが現状ではないでしょうか。
それがこの書籍、『植物はなぜ薬を作るのか』では明快にわかりやすく説明されています。特に手作りご飯を実践されている方に読んでいただきたいので、少し長くなりますが、下記に引用します。
ポリフェノールは代表的な植物成分
健康ブームの中、ポリフェノールという物質には抗酸化作用があるということでよく知られるようになりました。実際、ポリフェノールには5000以上もの種類があると言われています。ほとんどの植物がポリフェノールを作りますし、一つの植物でも何種類かのポリフェノールを同時に作って蓄えます。
(中略)
抗酸化作用とはどういうもの?
ポリフェノールにはいくつかの作用がありますが、最も重要な作用がいわゆる抗酸化作用です。動物や植物を問わず生物の体内では酸素が関わる多くの反応によって、活性酸素や「フリーラジカル」(いろいろな分子と反応しやすい構造をした特殊な分子)と呼ばれる、不安定な分子種が発生します。これらの活性酸素分子種は、DNAを傷つけてがんを引き起こしたり、動脈硬化、炎症などの病気や老化の原因になります。
先に、ポリフェノールはベンゼン環などに複数の水酸基を持っていると言いました。このポリフェノールの水酸基が生体にとって不都合な活性酸素分子種を補足して解毒することを、抗酸化作用と呼びます。
野菜や果物に含まれるポリフェノールをたくさん摂るのが体に良いというのは、このポリフェノールの抗酸化作用によります。
引用元『植物はなぜ薬を作るのか』 斉藤和季 文春新書 p.71-74
ものすごく簡単にいうと、野菜や果物にはポリフェノールが含まれており、これを摂取することで抗酸化作用の恩恵を受けられますよということです。
ちなみに動物はポリフェノールを体内で合成できません。なので動物性食品を食べても、ポリフェノールは摂取できません。野菜や果物など、植物性の食品から摂ることになります。
このことから犬に野菜や果物を適切な種類、適切な量与えることは健康上のメリットがあるといえます。
必須の栄養素と、必須ではないが、あるといいもの
ところで食品の栄養成分表をみて気づくことがあります。それは「タンパク質や脂質など、メジャーな栄養素の表記はあるけど、それ以外はそういえばないのでは?」ということです。
犬のフードでも表記があるのは主に五大栄養素で、ポリフェノールなどの含有量記載はありません。これはなぜかといえば、栄養素には「1日に必要な量=要求量」がわかっているものとそうでないものがあるからです。
言い換えると、毎日食事から一定量を摂取する必要がある栄養素と、摂っても摂らなくてもどちらでも良い栄養素があるということです。
ポリフェノールは、摂っても摂らなくてもどちらでも良い栄養素に該当します。無くても生きていけます。でもあると、病気の予防になり、健康維持に貢献する。
手作りごはんはこの「必須ではないが、あると健康を守り、病気を防ぐもの」を幅広くカバーできる点が優れています。
という風に、手作りごはんは犬にとってどんなメリットがあるのか?を考える際に、この本は役に立つわけです。こうした裏付けがあると、自信を持って楽しく手作りごはんに取り組めます。そういう意味で、読書は手助けになるのでおすすめです。
というわけで、興味のある方はぜひ読んでみてくださいね。