Office Guriの諸橋直子です。今回の記事は
「犬用パン『犬パン』を作ってみました」
の第二回目です。「犬パン」の作り方を解説した動画はこちらをどうぞ。
第二回目は
・小麦粉の種類の解説
・小麦粉以外の穀物をプラスしてバリエーションを楽しむ
・はちみつについて
をテーマにお話ししていきます。
「薄力粉、強力粉、中力粉って何が違うの?」タンパク質含有量の違いで小麦粉を使い分けよう。
さて小麦粉にはいくつか種類があります。今回の動画「犬パン」の場合は「中力粉」を使っています。
薄力粉、強力粉、中力粉のちがいを一言でいうと「タンパク質の含有量の差」です。
・強力粉:11.5%〜13.0%
・中力粉:6.5%〜9.0%
・薄力粉:9%前後
タンパク質の量、そして質の違いによって出来上がるパンや麺などの仕上がりが変わります。
グルテンという言葉を聞いたことがある方も多いと思います。グルテンとは小麦に含まれるたんぱく質のうち、グルテニンとグリアジンによって作られるものを指します。
小麦粉に水を加えて捏ねることで、グルテニンとグリアジンが網目状に絡まります。これがグルテンです。
こうしてできた編み目状の構造の中に発酵でできた炭酸ガスをしっかり抱え込むことで、あのパン独特のモチモチした食感が生まれます。
そのため、パンのようにモチモチ仕上げたい!という場合はグルテンの量が多い強力粉、逆にお菓子のクッキーのように、軽くサクッとした食感に仕上げたい場合はグルテンが弱めの薄力粉という選択になります。
中力粉はざっくりと、強力粉と薄力粉の中間の性質とここでは理解しておいてください。
さて動画の中では「中力粉」を使っています。これは参考にしている本で「中力粉」と指定されているのでそうしているだけで、実際のところは薄力粉でも強力粉でも美味しくできます。
粉物のレシピ本を数冊比べてみると粉の使い分けも色々です。
例えばしっかり食事になるような粉物(肉まんなど)は、主役になる肉や野菜などの餡を引き立てるためにあっさりとした「薄力粉」を使う。
主食として食べる具なしの焼餅(シャオビン)の場合は「強力粉」を使い、しっかりそれ自体が主役になるよう仕上げる。
あとは発酵時間によっても仕上がりはかなり変わります。
私自身は結構いい加減なところがあるので、生地を仕込んだはいいけど疲れちゃったので焼くのは明日にする!なんていうこともたまにあります。
そういうとき冷蔵庫にパン生地を放り込み温度を下げて発酵を一時止めるのですが、やはり完全には止まりません。
そのため若干過発酵気味にはなりますが、それでも焼いてしまえばほどほどに美味しいパンになります。
という具合に、実は結構どうにでもなるものなのです。
そのため、はじめて「犬パン」を作る方はとりあえずレシピ通りにやってみて、そのあと粉を変えてちょっとした違いを楽しむのがおすすめです。
中力粉がないっていう場合は、家に強力粉があればそれでいいですしね。
粉の性質の違いを知った上で色々楽しんでいただければ幸いです。
小麦粉以外の穀物をプラスしても楽しめる!
基本の「犬パン」の粉、一部「蕎麦粉」におきかえても、また違った味わいが楽しめます。
蕎麦に含まれるルチンは、ビタミンCと一緒に毛細血管を強化する働きがあります。蕎麦も犬にとって栄養学的なメリットのある食材です。アレルギーがない場合は、適度に取り入れてみてください。
また同じ小麦粉でも「全粒粉」は栄養組成が通常の小麦粉とは異なり、様々な栄養学上のメリットがあります。通常は取り除く外皮ごと粉にするのでミネラルや食物繊維が豊富です。
パンに使用する場合、はじめは材料小麦粉の20%程度を「全粒粉」に置き換えるのが、失敗が少なくおすすめです。
犬パンに使用する「はちみつ」について。犬に甘みは良いの?
「犬パン」には「はちみつ」を加えています。
「犬用のパンなのに甘みを加えていいの?」と疑問に思う方もいると思うので、これについても解説しておきます。
多くのパンレシピには「砂糖」が使用されます。これはもちろん、甘さを出すためでもあるのですが「発酵を行うイースト菌のエサ」という側面が大きいです。
パンのあの独特のふんわり甘く香ばしい香りは、発酵によって生み出されるもの。
具体的にはイースト菌が発酵により、糖を分解して炭酸ガスとアルコールを生み出します。
この炭酸ガスが、ふわっとした食感の決め手になります。なので糖を加えないことには、あの食感が出せません。
ただし「砂糖=ショ糖」は歯につきやすいため、しっかり歯磨きをしないと虫歯の原因になります。
一方、はちみつに含まれる糖は「果糖」と「ブドウ糖」。この2つは虫歯になりにくい糖で、犬の虫歯リスクを下げてくれます。
パンを膨らませるには糖が欠かせません。そのため虫歯リスクの低い「果糖」と「ブドウ糖」が主成分の「はちみつ」を採用している次第です。
材料のチョイスにもこんな風に、色々と意味があるんだなと今回は知っていただけると嬉しいです。
というわけで、「犬パン」の材料についてのお話でした。それでは、また!