Office Guriの諸橋直子です。今回のタイトル写真は私が実際に犬の散歩中に撮影したものです。
さてコロナウイルスの影響で、リモートワークへの切り替え、自宅待機になる方が増えています。人と人との接触を減らそう、という呼びかけも盛んです。
ここで考えたいのは「犬の散歩」。犬の散歩は屋外で行います。オープンエアの活動なのでいわゆる「三密」には当てはまりません。一方で、屋外だからといって知り合いと近距離で立ち話はNGです。
「こんにちは!」
「こんにちは〜」
程度の軽い挨拶で済ませるのが、現時点では安全です。
こうした基本事項を踏まえた上で、ストレスをためず、運動にもなる「犬の散歩」は犬にとってももちろん良いですが、飼い主さんにもメリットがあります。
この記事では「散歩=ウォーキング」と捉え、体にどのようなメリットがあるか?に視点を当てて解説していきます。
散歩=ウォーキングのメリット
犬を飼っている方であれば、毎日の散歩は習慣化していると思います。一方で、歩く速さやコースのアップダウン、散歩に費やす時間は個人差があります。
そこでウォーキングのメリットを考えるにあたり、ここでは「METs(メッツ)」という「運動強度の単位」について、はじめに解説します。
METs(メッツ)とは?
安静時を「1」として、様々な活動の強度を示すものです。
例えば、運動系だとゆったりとしたクロールは「8.0」、一般的なジョギングは「7.0」です。家での活動だと、掃除機をかけるは「3.5」、料理は「2.0」です。
ちなみに犬の散歩は「3.0」。掃除機がけより軽いんですね。このことから、一般的な犬の散歩はごく軽い運動に分類されていると言えます。
METsについては国立健康・栄養研究所の栄養・代謝研究部のWebsiteでメッツ値表(PDF)が公開されています。この記事のMETs値もこのデータを参考にしています。
ウォーキングの良さ | 強度が高くても意外と歩けてしまう
余談ですが、私は冬になるとスノーシューで犬との散歩を楽しみます。ちなみに雪の上をスノーシューで歩くは「8.0」。終わった後はどっと疲れます。
これも運動強度がクロールと一緒であれば納得。歩きだと1時間くらいあっという間に経ちますが、流石にクロールで1時間泳ぎっぱなしは難しい。
他の運動だと難しい持続時間も、歩くことだと案外軽くできてしまうところも「ウォーキング」の魅力です。
犬の散歩、実は結構な「運動」である
実は歩く時間の長さによって、健康増進の効果が上がることが知られています。
犬の散歩はMETs「3.0」、中強度の運動に分類されます。以下は中強度の運動の「継続時間」と、それによって予防効果があると考えられている「病気」の関係を表したものです。
歩数 | 中強度の活動時間(分) | 予防できる病気 |
2000 | 0 | 寝たきり |
4000 | 5 | うつ病 |
5000 | 7.5 | 要支援・要介護、認知症、心疾患、脳卒中 |
7000 | 15 | がん、動脈硬化、骨粗鬆症、骨折 |
7500 | 17.5 | 筋減少症、体力の低下 |
8000 | 20 | 高血圧、糖尿病、脂質異常症、メタボ(75歳以上) |
9000 | 25 | 高血圧(正常高値血圧症)、高血糖 |
10000 | 30 | メタボリックシンドローム(75歳未満) |
12000 | 40 | 肥満 |
引用:中之条研究「1年の1日平均の身体活動からわかる予防基準一覧」
犬の散歩は1回平均30分程度、朝晩2回行う飼い主が多いようです。犬の体の大きさによって理想的な散歩時間は異なるという考え方もあります。
- 小型犬〜中型犬:1回30分程度、1日2回
- 大型犬:1回30〜60分程度、1日2回
注意点:
犬種によっては成長期に長時間散歩をさせると、股関節の形成不全の発症リスクをあげるという説もあります。また、犬のコンディション、年齢、持病によって適切な散歩時間は変わります。獣医師と相談の上、犬の様子を見ながら適切な散歩時間を個別に考えることが大切です。
1日2回、30分程度の散歩を習慣化している飼い主は、無理なく毎日60分程度の中強度の運動をしていることになります。
これは散歩習慣が、肥満やがん、高血圧の防止にもつながるということ。ぜひ続けていきたいですね。
散歩は筋肉を使った全身運動である
散歩は軽い運動として見られますが、その動作は複雑です。二足歩行の人の場合、脚の筋肉は勿論、歩行を支える腰の筋肉、下腹部の筋肉も使います。
犬の場合は四肢の筋肉に加えて、前足を支える肩や胸の筋肉、後ろ足を支える臀部や腰の筋肉も使います。前足と後ろ足を連携させ、歩行を支えるには背中の筋肉も重要です。
結局のところ、散歩は全身運動。体全体を使った大掛かりなものなのです。
悲しいけれど、筋肉は使わなければ怠ける。そして減る
残念ながら筋肉は使わなければ減る、という宿命にあります。そして人も犬も、加齢によって筋肉が落ちやすい傾向があります。
筋肉はたんぱく質の貯蔵庫でもあるため、食事からの摂取量が不足しても減る場合があります。
特に高齢になってから筋肉が減ると、転倒リスクが高まり正常な運動機能が維持できない傾向が強まります。筋肉量が減少し、筋力や身体機能が低下する状態を「サルコペニア」と呼びます。
「サルコペニア」が進むと要支援・要介護状態になる可能性大。
犬の寝たきり防止のために、飼い主さん自身の健康のためにも「散歩」は大切なトレーニングです。
散歩は脂肪燃焼に最適な「有酸素運動」である
有酸素運動では、筋肉を動かすのに体内の「糖質」と「脂肪」を酸素と一緒に消費します。有酸素運動は散歩のように、長時間継続できる、軽度または中程度の運動を指します。
体脂肪率を下げたい、肥満気味なので体重を落としたい、という場合にも散歩は最適な運動と言えます。
加えて有酸素運動には「心肺機能、酸素摂取能力の改善」「冠動脈疾患の危険性の減少」といった効果も認められています。
うつ病の予防など、メンタルへの効果も期待大
散歩は脂肪燃焼や筋肉維持といった肉体的なメリットのほか、メンタルヘルスに及ぼす効果でも注目されています。
散歩は「うつ病」「認知症」予防へ効果が期待されています。
散歩を数値化、可視化、記録するとやる気が出るよ
犬の散歩は習慣だから、何となくやっている、という人は
- 散歩量の数値化・可視化
- 散歩の記録を残す
を実践すると、よりやる気ができて楽しいですよ。
オススメはスマートフォンアプリを使った「散歩時間」「散歩距離」の可視化です。
私自身は「Runkeeper」を使って歩行距離、時間、平均速度などを記録していました。実際数字にしてみると「おお、結構歩いたな」と励みになって楽しめます。
現在はスマートフォンを契約していないので、シンプルに歩いた距離時間で測っています。それを毎回Twitterでつぶやくことを日課にしています。「今日は90分歩いたから、90分散歩ってつぶやくぞ」というのが励みになっています。
簡単なことですが「動機」は大事。動機付けがあれば、習慣は長く続けられます。
犬は散歩が好き。一緒に歩いて健康になろう
犬は散歩が好きです。風を体に受けながら歩いたり、地面の匂いを嗅いだり、刺激を受けながら歩くことは、犬にとって大きな楽しみです。
その楽しみを、人も共有しながら歩くことでお互いに健康になれます。
楽しい健康習慣である「散歩」を、ぜひみなさんも楽しんでくださいね。