こんにちは、Office Guriの諸橋直子です。今回の記事では「アロマセラピーを楽しむ際、精油の成分にも着目してみよう」という話です。
アロマテラピーで使用する精油の成分は、「香料」としてだけでなく「医薬品」にも利用されている
香水や化粧品の材料としても「精油」はよく使われています。ラベンダー石けん、オレンジの香り配合の洗剤、ローズやベルガモットの香水など、純粋に「香り」を楽しむ用途は基本中の基本。
一方で、精油に含まれる「成分」の効能を活かす使い方もあります。ここではわかり易い例をいくつか挙げてみることにします。
以下、私が所属するAEAJ(公益社団法人 日本アロマ環境協会)の会員向け機関誌からの引用です。
たとえば、1,8-シネオールやl-メントールは外用薬、筋肉痛の薬や虫さされのかゆみ止め、清涼感があるので全身ローションなどにも入っており、抗菌性のあるカマズレンは目薬や歯周病薬に使用されています。
出典 | AEAJ, AEAJ機関誌No95, 2020, 29p
サリチル酸メチルは、外用消炎鎮痛剤など、スポーツあとの筋肉痛用スプレーに入っていることで有名です。
変わったところでは、鎮痛効果のあるオイゲノールは歯科治療薬として使われるため、香りを嗅ぐと歯医者さんの匂いを思い出す人が多いようです。
また、リモネンは油を溶かすので、換気扇やガズレンジなどの洗剤、発泡スチロールの減溶剤(発泡スチロールを溶かして容積を減らす薬剤)としても使われています。
これをアロマセラピー初心者の方向けに、もう少しわかりやすく説明します。
種類が多いので、今回はてはじめに「1,8-シネオール」について解説します。
「1,8-シネオール」を多く含む精油の代表は「ローズマリー」
「1,8-シネオール」を多く含む精油の代表は「ローズマリー(Rosmarinus officinalis)」。
あの肉料理の香り付けによく使うローズマリーです。
「ローズマリー」精油にはケモタイプが存在します。ケモタイプとは、植物学的にはまったく同種でありながら
精油成分の構成が大きくちがうもののこと。
ローズマリーのケモタイプには、以下の3種類があります。
- シネオール(45.17%)
- ベルベノン(6.27%)
- カンファー(17.9%)
()内は1,8-シネオール含有量。数値は「プラナロム社 ( https://www.pranarom.co.jp/ )」製品のものを引用しています。メーカーや収穫時期、年度によって成分比は若干変動しますが「ケモタイプ」間にみられる成分比の「開き」は、おおむねそのままです。
「1,8-シネオール」には有害な蚊の幼虫に対する殺虫活性があることや(Araujo EC et al., J Agric Food, 51: 3760, 2003)、「副鼻腔炎」の治療に対し効果があるという報告もあります(Sonnemannet et al.2004 )。
ちなみになぜ、わざわざ「ローズマリー」のケモタイプ3種を取り上げたかというと、1,8-シネオールは「粘膜と皮膚への刺激」があるためです。
そのため同じローズマリーでも、犬に使用する場合は「1,8-シネオール含有率」が低い、「ローズマリー・ベルベノン」がおすすめ。
こんな風に成分についての知識があれば、犬にアロマセラピーを行う上で、より安全で安心して使えるものを選べるというメリットがあります。
これは大事な知識なので、頭の片隅に置いておいてください。
アロマセラピーは「良い香り!」だけだと、少しもったいない
ここまで来ると
「香水やルームフレグランスなどで、シンプルに”良い香り”を楽しむアロマセラピーとは、ちょっと違うかも?」
と感じ始めた方もいるかもしれません。
そう、実はアロマセラピーは「純粋に香りを楽しむ」以外にも、殺菌効果を活かしたり、虫よけに利用したりなど様々な使いみちがあるのです。
個人的には「香りをシンプルに味わう」という楽しみ方ももちろん好きです。しかしそれだけだと、アロマセラピーの奥深さの「ほんの一部」のみしか享受できず、もったいないように感じます。
この記事は「犬のアロマセラピー」に興味を持って読まれている方も、多くいらっしゃいます。
ぜひそうした読者の皆さんには
「アロマセラピーって良い香りなだけでなく、いろいろ役に立つんだ!」
と知っていただければ幸いです。
そんな「役に立つアロマ」を知っていただく一環として、Office Guriでは「犬に優しいアロマの虫よけ」といった犬用アロマ製品の企画、販売を行っています。興味のある方はぜひこの機会にご利用ください。