犬の食事

ウェットフードの「デメリット」も知っておこう | 上手に利用するために | ペットフードの基礎知識(3)

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Office Guriの諸橋直子です。さて、今回はペットフードについてのシリーズ最終回です。前回は「ウェットフード」を取り上げました。

フードといえば「ドライ」がまず思い浮かぶ方も多いと思います。

しかし実際には水分含有量や加工法の違いにより、様々な種類のフードが存在することをお話ししました。

このように、フードにも異なる種類が存在するのは、犬の健康上のニーズに細やかに対応するためでもあることもご紹介しました。

フードを選ぶ際、メーカーやブランド、どんな材料を使っているか?に目が行きがちです。

しかしながら、そもそもフードにはどんな「種類」があって、目的に合わせてどう選ぶか?という視点は、意外と見逃されがちです。

フードの「種類」とその特徴を知っておくだけでも、いざと言うとき犬の食事の選択肢が増えます。

このメルマガでは普段「手作りごはん」についての情報を中心にお伝えしていますが「手作りごはん」「のみ」にこだわりすぎてしまうと犬、飼い主さんにとって食の選択の幅を狭めてしまう場合があります。

そうならないためにも「我が家は手作りだからフードは関係ない」ではなく

「普段手作りごはんだからこそ、そこから一歩視野を広げて、フードについても少し詳しくなっておくと、いざというとき助けになるかも」

という感じで、フードについてももっと気軽に、基本的な特徴を知っていただけたら。

そんな思いで、このシリーズを書き始めた次第です。

「そっか、手作りごはんがメインでも、フードが頼りになる場面が今後出てくる可能性もあるんだな。だったらフードについても少し知っておこうかな」

もし、そんな風に感じてくださった場合は、下記のバックナンバーも是非参考にしてください。

「手作りごはん」と「ペットフード」犬の食事、あなたはどちらですか?

ペットフードの基礎知識(1)犬に最適なフード選びとアレンジ

食が細い犬に食べてもらうには? | ペットフードの基礎知識(2)

今回は「ウェットフードのデメリット」についてお話ししようと思います。

どんなものにも「いい面」「そうでない面」がある | ウェットフードのデメリット

前回のメールではウェットフードのメリットについてお話ししました。

【メリット】

  • 水分含有量の多さ → 水分補給になる
  • 粘りと柔らかさ → 喉や顎が弱った老犬には飲み込みやすい

ところで、どんなものでも「完璧」は、ありません。ウェットフードにも当然「デメリット」が存在します。

では、ウェットフードのデメリットとは何でしょうか?

「総合栄養食」が少ない

ドライフードの多くは「総合栄養食」です。「総合栄養食」とは、「このフードと水だけで、犬の健康を維持できる」という栄養素をすべて含む、というフードを指します。

これはフードの成分分析や給餌試験を経て一定基準を満たした場合にのみ、表記可能です。

ところで、ウェットフードの場合、ドライと比べてこの「総合栄養食」が大変少ないです。

基本的に「栄養補完食」と位置づけられる製品が多く、ウェットフードのみで必要な栄養素摂取が完結するケースは少ないことを飼い主さんは知っておく必要があります。

そのため総合栄養食のドライフードと併用する、または総合栄養食の基準を満たしたウェットフードを選ぶ必要があります。

実際に食べる量で比較すると「低カロリー」傾向である

ウェットフードは水分含有量が多い食事であることは、前回の記事でお話ししました。

これは100gあたりの実際に食べる量で比較した場合、ドライフードより低カロリーな傾向になりがちなことを意味します。

実際に水を食べるごはんともいえるほど、水分が多いウェットフード。これに対し、水分10%以下でカリカリのドライとでは、こうした差が出てくるのは、むしろ当然のことです。

そのため犬が「実際に食べている量」で、必要なカロリーをしっかり取れているか?をきちんと計算して与える必要があります。

WEB上を検索すると、

「ウェットフードから水分量を差し引きして、栄養素やカロリーを考えればさほど低カロリーではない」

という情報もありますが、大切なのは「犬が実際に食べている量をベースに考える」です。

特にもともと少食で量をあまり食べられない犬が、水分を多く含んだウェエットフードで満腹するのと、水分抜きで同じ量をドライで食べた場合とでは、当然カロリーも違います。

カロリーが少なければ当然痩せてきます。

これについてもウェットフードの特徴を理解した上で、適正体重の維持に務める必要があります。

メリット、デメリットを知り、上手な使いこなしを

以上、ウェットフードについてその特徴を見てきました。当然ながらメリットもあれば、デメリットも存在します。

大切なのはこうしたメリット、デメリットを含めた「特徴」を正しく理解することです。

犬の食事や健康上のニーズは、その犬の性格や体質、年齢によって変化します。

そうした状況に、細やかに対応するためにも食事の選択肢は多い方が良い、と私自身は考えています。

そのため、

  • 現在フードメインで、手作りごはんに興味のある方は「手作りごはんについて」
  • 現在手作りメインだが、フードも賢く利用したい方は「フードについて」

それぞれ基礎的なことを、ぜひ学んでみてください。

みなさんの食事選びの参考になれば幸いです。

この記事は犬の健康基礎情報を学ぶ「ぐり通信」のバックナンバーです。
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