この記事では、犬の体を理解するための6つの「系」について「何をどこまで学べば良いか?=効率の良い学習方法」をテーマにお話ししようと思います。
前回の記事を読みたい方はこちらから。
犬の体を知るために「基本的な6つの系」
犬の体をまず、6つの系統に分けて考えます。系統は以下の通りです。
- 循環器系(心臓、血管など)
- 呼吸器系(肺、気管支など)
- 消化器系(食道、胃、腸、肝臓、膵臓など)
- 泌尿器系(腎臓、膀胱など)
- 生殖器系(乳腺、子宮など)
- 内分泌系(甲状腺、副腎など)
基本の働きを理解する
この6つの系統について「基本の働き」を簡単に理解しておきましょう。
- 循環器系 | 血液を全身に送る働き
- 呼吸器系 | 酸素と二酸化炭素を交換する働き
- 消化器系 | 食物を消化、吸収しエネルギーなどに変える働き。不要物の排泄
- 泌尿器系 | 老廃物を尿として排泄、体内の水分調整
- 生殖器系 | 子孫を残す役割
- 内分泌系 | ホルモンによって体を調節する働き
6つの系と大まかな働きは頭に入りましたか?
さてここで大切なのは、この6つの系と関連づけて「その系で起こりやすい病気」も、大まかでいいので一緒に把握しておくことです。
それぞれの系で「犬によくある病気」を挙げていきます。「こんな病気があるんだ」と、まずは皆さんが知る機会になれば幸いです。
系統別、犬のよくある「病気」
循環器系
「僧帽弁閉鎖不全症」
7歳以降の小型犬に多い。散歩を嫌がるようになる、夜中~明け方に乾いた咳が出るのが特徴。
「心筋症」
老犬期に入った大型犬に多い。心臓の筋肉(心筋)が障害を受け、機能不全になること。軽症の場合は症状なし。進行すると不整脈、元気消失、失神などが起こる。
呼吸器系
「気管虚脱」
気管が強度を失い潰れることで呼吸に障害が起こる病気
「気管虚脱」が多くみられるとされる犬種:
超小型犬、特にポメラニアン、チワワ、ヨークシャーテリア、トイプードル
大型犬、ラブラドールレトリーバー、ゴールデンレトリーバー
咳、ゼーゼーと言う呼吸音、咳の後の吐き気など。
消化器系
「胃拡張・胃捻転症候群」
特に大型犬に多い。胃が拡張とねじれを同時に起こす病気。文字通り、胃が90~360度ねじれるため、胃の中身が胃内に停滞する。お腹の膨らみ、吐き気、よだれ、呼吸困難など。
過度な空気の飲み込み、食後の運動などが原因となる場合がある。
「膵炎」
消化酵素を分泌する膵臓に、何らかの原因で負担がかかり、消化酵素が活性化。膵臓自体を「自己消化」する病気。
強い痛みを伴うため、抱っこを嫌がる、お腹を触ろうとすると威嚇するなどの変化が見られる場合がある。嘔吐、食欲不振。
短時間に大量の脂肪(脂身)を犬が誤食することによって、膵炎になる事例も報告されている。
参考:犬の手作りごはん「食べさせてはいけないもの10のリスト」【初心者向け】「5:大量の脂身」
6つの系のうち、前半3つについて犬によくある病気を紹介しました。注意してみていただきたいのは「小型犬に多い」「大型犬によく見られる」といった、犬種ごとに多く見られる病気です。
犬は人為的に品種改良を重ねた結果、犬種別に「遺伝的にかかりやすい病気」がある程度決まっている場合があります。
そのため、純血種の犬を家族に迎える場合はその犬種に多く見られる病気は、あらかじめ予習しておくことが大事です。
ちなみに、我が家の場合は、ラブラドール・レトリーバー2頭です。成長期には、股関節形成不全がないか?を歩き方を見てチェックしました。老犬期に入り「慢性肝炎」と言われた際には、やっぱり…と言う気分にもなりました(慢性肝炎はラブラドール・レトリーバーには比較的多い病気とされています)。
犬種ごとによくある病気を知っておくことは、病気予防のための普段からの行動に影響します。また、かかった時にスムーズに対応できるなどメリットも大きいです。
犬を病気から守りたい、病気になったとしてもできるだけ良い状態で長く過ごさせてあげたい。
そう強く願うほど、病気について知っておくことは必須です(逆説的ですが)。
予防するにせよ、病気との付き合いにせよ、何はさておき「まずは病気を知っておこう」ということですね。
まとめ
「6つの系と、よくある病気について基本事項を知っておこう」
次号の記事では、「犬の泌尿器に多い病気。膀胱炎、慢性腎不全」について解説します。