今日は「犬の体とよくある病気を学ぶシリーズ」の最終回です。「内分泌系」の病気として「糖尿病」を取り上げます。
犬も患う「糖尿病」
糖尿病は、体の「血糖値」をコントロールするホルモンの分泌異常によって起こります。「血糖値」コントロールの仕組みは、前回のメルマガでも軽く触れました。復習がてら、前回の記事から引用します。
私たちの体は「ホルモン」によってその機能が正常に維持されています。
犬の体とよくある病気(5) | 老犬に多い「甲状腺機能低下症」
例えば血糖値。私たちも犬も、血液の中には一定量のブドウ糖(グルコース)が含まれています。体は活動するために常にエネルギーを必要としています。血液中のブドウ糖は、その大事な供給源。
そのためブドウ糖が血液中に少な過ぎては体が正常に機能できません。
また、多過ぎても弊害があります。
この血液中のブドウ糖濃度(=血糖値)を正常範囲内に収まるようコントロールしているのがホルモンです。
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ここをもう少し深く掘り下げます。犬の膵臓から分泌される「インスリン」と言うホルモンがあります。「インスリン」は血糖値を下げる唯一のホルモンで、他に替えがききません。
この「インスリン」が十分働かなくなり、血糖値が高いままになるのが「糖尿病」です。
高血糖が続くと、何が起こる?
高血糖の状態が何年も続くと血管が傷つき、将来的に失明、腎不全、神経症状、肝疾患、最近感染症などの病気につながります。
どんな症状が現れる?
糖尿病の初期には、ほとんど症状が現れません。症状が現れる頃には、かなり病気が進行していることが多いとされています。
代表的な症状は以下の通りです:
- 多飲多尿
- 食欲があるにもかかわらず、痩せていく
発症しやすい犬種、年齢は?
中齢期以降の発症が多いとされますが、子犬の時期に発症するケースもあります。どの犬種でも発生する病気です。
治療は?
「血糖値」のコントロールを行い、他の病気(失明や腎不全など)を予防する目的で行います。
- インスリン投与
- 食餌療法
- 運動
自宅で飼い主さんが、犬にインスリンの皮下注射を行い、食事の管理を行うこと治療法が、多くの場合選択されます。
いずれの場合も、動物病院と飼い主が協働し、犬の血糖値コントロールなどの管理にあたります。
糖尿病の治療は生涯続くことが多いため、飼い主=動物病院との間で、良好なコミュニケーションをとることが大切です。
どんな病気でも、大切なのは「飼い主=動物病院」でのコミュニケーション
今回で「犬の体とよくある病気」についての解説シリーズは最終回になります。
これまで様々な犬の病気についてお話ししてきました。病気によっては短期間で治るものもあれば、今回取り上げた「糖尿病」のように、生涯付き合っていく必要のある病気もあります。「腎臓病」も長い付き合いになる病気です。
我が家の15歳の老犬も「肝臓病」とかれこれ五年くらい付き合っています。
犬が長生きすればするほど、病気との付き合いは切り離せない存在です。付き合わざるを得ない存在であれば、犬の体と病気についてよく知ることが大切。
付き合っていく以上、まずは「相手」を知ることです。
犬の体と病気について知ろう
さて、ここまでお読みいただき
「そうか、犬の体とよくある病気について、最低限知っておくことは大事なんだな。私も一度、きちんと勉強してみたいな」
と感じた飼い主さんも多いと思います。
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