犬の手作りごはん

犬の食事:お腹の調子を整える手作りごはんのレシピ紹介

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犬の管理栄養士、 Office Guriの諸橋直子です。今回のテーマは「ちょっと調子の悪い時の犬ごはん」です。そしてこれは、実はそこそこ大きなテーマです。

しかしながら、下痢などで動物病院を受診した場合、食事は「ドライフードをふやかして」と指示されることが多いです。

人間であれば、うどんやパン粥、白米のお粥など選択肢はたくさんあるにもか関わらず、犬の場合はほぼ「ふやかしたドライフード」一択。

もちろん、ドライフード自体に罪はありません。犬が元気な時であれば、あんなに便利でいいものはありません。実際に我が家は、ドライフードと手作りごはん併用です。

でも「ちょっとお腹の調子が悪い時」はどうなの?という話なのです。

これについて、読者の皆さんはどのように対応しているでしょうか?

この「ちょっと調子の悪い時の犬ごはん」について、この記事では解説していきます。

ドライフードは基本的に「元気なときの食べ物」 じゃあ病気の時はどうするの?

病気に時の犬の食事を考える際、逆説的ですが「元気な時の犬のごはんとは一体どういうものか?」を知ることが助けとなります。

では私たちが普段利用している「ドライフード」とは一体どういうものなのでしょうか?ここでは特定の疾患に対応する療法食を除きます。健康な犬を対象とした「総合栄養食」について、今回は考えていくことにします。

総合栄養食」とは、いったいどんな食べ物なのでしょうか?

これについては「一般社団法人ペットフード協会」の定義が参考になります。以下に引用します。

(1)総合栄養食
「総合栄養食」とは、ペットフードのうち、犬又は猫に毎日の主要な食事として給与することを目的とし、
当該ペットフードと水だけで指定された成長段階における健康を維持できるような栄養素的にバランスのとれた製品であって「ペットフード公正取引協議会」の定める試験の結果を基に定められています。

ペットフードの目的として「総合栄養食」と表示をする場合は、そのペットフードが適用となる犬又は猫の成長段階が併記されています。「総合栄養食」と表示をするためには、各事業者が自らの責任において定められた試験を行わなければなりません。

1つは、製品の分析試験の結果を施行規則の栄養基準と比較し、栄養成分の基準に合致しているかを証明する「分析試験」。もう1つは、実際に給与試験を行って総合栄養食であると証明する「給与試験」。この2つの試験により証明されています。

出典:一般社団法人ペットフード協会HP
https://petfood.or.jp/knowledge/kind/ 

ものすごく簡単にまとめると、「総合栄養食」とは「これと水だけで生きていける食べ物」です。犬が必要とする栄養素を、現時点でわかっている範囲内で全部入れてありますよ、というお墨付きをもらった食事ともいえるでしょう。

現時点でわかっている範囲内でというのは、今後新たに栄養素が発見されそれが追加されたり、既存の栄養素に新たな機能が発見されて必要量が定められたりなど、臨機応変に変更される可能性があるという意味です。

健康を維持するための栄養素が全て入っているわけですから、五大栄養素は基本的にカバーされていると考えて良いでしょう。

五大栄養素というのは:

  • 炭水化物
  • 脂質
  • タンパク質
  • ビタミン
  • ミネラル

の5つを指します。

さてここで注目したいのが、脂質です。

脂質は大切な栄養素です。しかしながら、「お腹の調子が悪い時」にはどうでしょうか?実は「脂質」は、お腹の調子が悪い時には避けたい栄養素の筆頭です。

元気な時であればエネルギーとなり、体を作る大事な材料として欠かせない脂質ですが、お腹の調子が悪い時にはできるだけ少なくするのが望ましい栄養素です。理由は消化に時間がかかり、胃腸の負担となるためです。

そのため元気な時の食事であるドライフードをふやかして与えると、どうしても胃腸の負担になる脂質が避けられません。

このポイントで困っている飼い主さんが多く、犬のお腹の調子が悪い時にどんな食事を与えれよいのか?と悩んでしまうことも少なくありません。

ではこういうとき、家庭でどのような食事アレンジをしたら良いのでしょうか?手作りごはんに普段なじみのない飼い主さんでも簡単に作れて、犬のお腹に優しいメニューにはどんなものがあるのでしょうか?


ちょっとお腹の調子が悪い時のごはんは「白がゆ」がおすすめ!

ちょっとお腹の調子が悪い時のごはんは、断然「白がゆ」がおすすめです。

お粥は鍋とお米、水があれば簡単に炊けます。圧力鍋であれば10分程度。炊飯器であればお粥モードを使えば簡単です。

もし炊くのが面倒!とか、炊いてる時間がない!という場合は市販の白がゆでもOK

食塩不使用で、本当に水とお米をシンプルに炊いただけのお粥が売られています。
白がゆ(味の素)

犬の体調に合わせてお粥をさらに水で伸ばしてもいいです、逆に元気があるなら、鰹節などをプラスして味も楽しめるよう工夫してあげるのも良いです。

お腹の調子が悪い時は、お粥っていう手もある!」という風に、覚えておいていただけると嬉しいです。

ポタージュもおすすめ。手軽な「絹ごし豆腐」でとろみづけ

とろみのあるポタージュもおすすめです。

ポタージュといえば、ジャガイモでとろみをつけるのが定番ですが、かわりに絹ごし豆腐を使うことで、ひとてま省けます。

カボチャやにんじんなど、甘味の強い野菜を水、絹ごし豆腐と一緒にハンドブレンダーでなめらかにすることで、手軽にポタージュが作れます。

ポタージュはお腹の調子が悪いときだけでなく、飲み込む力が弱ってきた老犬の食事にもおすすめです。

今の季節であれば、とうもろこしやトマトのポタージュが美味しくいただけます。

犬のお腹の調子が悪い時にも、複数の選択肢を

お腹に優しく、消化しやすく胃腸に負担が少ない食事は家庭で手軽に作れるものばかりです。

作るのが手間な場合は、レトルトのお粥でOK!

ペットフードを水でふやかす以外の選択肢を複数持っておくと、より犬の状態に合わせて最適なものを選べます。

「普段我が家は手作りごはんではないのだけれど」という方でも、お粥のような手軽な選択肢があることを、この機会に知っていただければ幸いです。

犬用おかゆのレシピを動画でご紹介しています。併せて参考にしてくだささい。

この記事は犬の健康基礎情報を学ぶ「ぐり通信」のバックナンバーです。
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