Office Guriの諸橋直子(犬の管理栄養士アドバンス)です。
前回に引き続き、犬の手作りごはん中級者で、犬の栄養学を学びたい方向けに「栄養とは?」という話をします。
なぜこの話をわざわさするか?というと「栄養」と、「栄養素」が頭の中でごっちゃになってしまうケースがよくあるからです。
ここをはじめに、きちんとわけて理解しておかないと「栄養学」の勉強が先に進みません。なのでまず、ここをしっかり理解しておきましょう!
「栄養」と「栄養素」はどう違う?
「栄養」とは?
私たちは食べ物から
- 必要な物質やエネルギーを摂取する
- 骨や筋肉を作る
- 代謝活動に利用する
- 取り入れた物質を、体内で利用しやすいように作り変える
などの活動をしています。
「栄養」とはこれらの活動を行う、「仕組み」全体のことを指します。
栄養素とは?
食物に含まれる「ビタミン」「ミネラル」「タンパク質」などの物質を指します。
犬の「食性」を正しく知ろう
「犬は肉食に近い雑食動物」です。
犬の歴史をたどっていくと、オオカミの家畜化されたものが祖先である、という説が現在では有力です。そして、人間との長い付き合いの中で、犬は様々な食物を食べることに慣れていきました。
犬の歯の中には「後臼歯」が存在します。犬の口の一番奥にある臼歯で上4本、下6本で全部で10本あります。この「後臼歯」は食物を「すりつぶす」のに向いています。
「臼歯」は草食動物によく発達した歯の形です。草などの植物をすりつぶすのに適した歯といわれます。
私たち人間も「雑食性」の動物です。私たちにも臼歯があります。
犬には肉を引きちぎるのに適した、鋭い「犬歯」もありますが同時に「すりつぶすのに向いた歯=臼歯」も持っています。
こうした「歯」の種類からも「犬は雑食性の動物」という根拠とする考え方もあります。
実際に犬はいろいろなものをよく食べます。肉も食べますが、ごはんなどの穀類、野菜類も好みます。
ごはんなどの「糖質」は、犬には不要と誤解されているケースもありますが、犬も「糖質」を消化、吸収してエネルギーに変え、利用しています。
ペットフードのラベルを見ると、総合栄養食であれば、エネルギー源としての「糖質」が必ず含まれています。お手元のパッケージにお持ちの方は、一度チェックしてみてください。
このように、犬の栄養について考える際、この「犬とはどういう食性(*)か?」を正しく理解することも大事です。
食性:
日本大百科全書(ニッポニカ)「食性」の解説 | コトバンク
動物が食物を摂取する際の習性をいう。
食物の種類とそれを摂取する行動の特徴を表すものであるが、狭い意味では食物の種類のみをさす。
食物の種類で食性を類別すると、動物性の食物を食べることを肉食性、植物性の食物を食べることを草食性、
動物性と植物性との両方の食物を食べることを雑食性、生物の死体やその分解しかかったもの、または排出物を食べることを腐食性という。
雑食性=「いろいろ食べて、元気に暮らす」が適している
食物にはいろいろな種類があります。
その中に含まれる栄養素も様々。
そんな中、雑食性の犬と私たちは
肉、野菜、穀類、果物など幅広い食べ物から「偏りなく」、色々食べることで
体に必要な栄養素を摂る食生活が適しています。
その点ペットフードは、この様々な食物から「ちょっとずついろいろな栄養を摂る」を
非常にコンパクトにまとめた便利グッズと言えるでしょう。
では、手作りごはんを犬に食べさせている飼い主が、
「ちょっとずついろいろな栄養を摂る」
を無理なく実行し、犬の健康を守るためにするべきことはなにか?
大事なポイントは以下の2つです。
- 「栄養素」の種類と働きを知る
- どんな食物に、どんな「栄養素」が含まれているか?を知る
まとめ
- 「栄養」と「栄養素」の違い
- 犬は「肉食よりの雑食性」
- 雑食性は「いろいろ食べて、元気に暮らす」食生活が向いている
次回は「栄養素の種類と働きについての学び方」を取り上げる予定です。