Office Guriの諸橋直子です。今回は、犬の手作りごはん中級者の方で
- 食事と栄養の重要性を理解している方
- 犬の健康のために、食事の栄養管理を考えたい方
を対象にした記事です。「栄養学」の基本である『栄養素の3つの働き』『五大栄養素』について解説していきます。
「栄養素」の3つの役割:作る、動かす、整える
犬の体を健康に維持する上で必要な栄養素の機能は、大きく3つに分けることができます。
栄養素の「3つの働き」
1 | エネルギー
体を「動かす」ための栄養素です。車に例えると「ガソリン」に相当します。
栄養学の世界ではこれを「熱量素」とよびます。
2 | 体の構成成分
体そのものを「作る」構成成分になるものです。車に例えると「ボディ=車体そのもの」に相当します。
栄養学の世界ではこれを「構成素」とよびます。
3 | 体の働きを調節するもの
犬や人の体内で起こる、様々な化学反応を「助ける」「整える」働きを持つ栄養素があります。車でいうと「エンジンオイル」に相当します。
栄養学の世界ではこれを「調整素」とよびます。
どんな食べ物に、どんな栄養素が含まれるか?を知ろう
1 | エネルギーに相当するのは?
例えば「ごはん」「パン」「パスタ」などのいわゆる「炭水化物」とよばれるものが相当します。これ以外にも「脂質」「タンパク質」もエネルギーになります。
2 | 体の構成成分に相当するのは?
例えば「チーズ」に含まれる「カルシウム」。「カルシウム」は「ミネラル」と呼ばれます。骨の材料となります。
肉の脂身などに含まれる「脂質」も体を作る「構成素」のひとつです。「脂質」は私たちの「細胞」を作るのに、必要不可欠な物質です。
肉類に多く含まれる「タンパク質」は、犬の毛や皮膚をつくる材料になります。
3 | 体の働きを調節するものに相当するのは?
例えば「ビタミンC(ビタミン類)」があります。「ビタミンC」は犬は体内で合成できますが(人間はできない)、ストレスによる負荷がかかると、どんどん消費されていくという特徴があります。
騒音、寒さ、暑さなども犬にとってはストレスとなりますから、生活環境をよく考えた上で「ビタミンC」を意識して摂取させるなどの対応も大切です。
神経伝達に「カルシウム(ミネラル類)」が必要なこともよく知られています。「カルシウム」がないと、神経から神経へ情報の伝達が行われません。「カルシウム」は「骨」を作っているだけではない、ということですね。
こんな風に体の機能を正常に維持するために、バランスを取っているのが「ビタミン類」「ミネラル類」なのです。
栄養学ビギナーは、まず「五大栄養素」をマスターしよう
食事から栄養素を摂取して、犬も私たちも生きています。大切なのは日々の食事から
- エネルギー
- 体の構成成分
- 体の働きを調節するもの
を「過不足なく」「バランス良く」摂ることです。
この「栄養素」の3つの働きは、どれが欠けても健康に影響が出てきます。
そして、犬や人の体に役立つ栄養素は約50種類あると考えられていますが、その中でも特に「エネルギー」になる養素3つを「三大栄養素」と呼びます。
三大栄養素
- 炭水化物
- 脂質
- タンパク質
ここに、ビタミン、ミネラル類を加えたものを「五大栄養素」と呼びます。
五大栄養素
- 炭水化物
- 脂質
- タンパク質
- ビタミン
- ミネラル
炭水化物を「糖質」「食物繊維」の2種類に分けて考える場合もあります。そのときは「六大栄養素」と呼びます。栄養学ビギナーの方は、まず「五大栄養素」の働きを学ぶことから、スタートしましょう。
「なぜ、健康のために栄養学を学ぶ必要があるの?」
ここで一旦、人間の社会に目を向けてみましょう。
「安くておいしい」は、良いことです。でも「安いから」という理由だけで食事を選んでしまうと「お腹はいっぱいになるけれど、体を健康に保つ栄養素が摂れていない」という問題が起きる場合があります。
例えば、低価格で手軽にぱっと食べられる食品は「炭水化物」が中心で、ビタミン、ミネラルなどをあまり含まない物が多くあります。そのため、「カロリーは高いが、栄養価に乏しい食品」については現在、社会問題にもなっています。
もちろん食品そのものに罪はなく、そうした食品ばかりを食べ続けてしまう、食習慣に問題があります。また、栄養に関心がなければ、そもそも食品の「中身」に関心が向きません。そのため、知らずしらずのうちに、健康を害するような食べ方を長く続けてしまう、ということも起きてきます。
犬の健康管理に「栄養学」を活かそう
犬に視点を戻しましょう。
犬の手作りごはん中級者以上の方であれば、まずそのような偏った食事を犬に食べさせていることは無いと思います。
しかしながら、「栄養素の働き」を知り、それらがどんな食物に含まれるか?という知識は、犬の健康管理を考える上では必須です。
食物の「中身」を知り、「栄養素」を知る。そうすることで、犬の年齢や体調に合わせて、食事内容を調節することができます。
先に述べた「誤った食生活」の怖いところは1日偏った食事を摂ったところで、翌日すぐに体調不良が起きるわけではない、というところ。誤った食習慣を続けていたら、気がついたら健康に赤信号が灯っていた、ということが多いのです。
逆を言うと、バランスが取れた食生活は犬の健康への「投資」といえます。今日の犬のごはんから摂った栄養素が1時間後、犬のエネルギーになり、1ヶ月後の健康な毛と皮膚を作ります。
栄養について「知らない」と、誤った食生活に陥るリスクが高まる
栄養について「知らないまま」だと誤った食生活に陥り、健康を害するリスクが高まります。
一方、栄養について「基本事項を知り、学ぶ」ことは、食事を犬の未来の健康づくりに活かせます。
犬の手作りごはん中級者以上の方は、以上の理由から、ぜひ「栄養学」を学ぶことを検討してみてください。