こんにちは、Office Guriの諸橋直子です。
このメルマガでは「愛犬の健康を守るために家庭できること」をテーマに、毎回お届けしています。
犬の健康を守る、というと「犬に対して、なにかをする」と考えるのが普通です。でも、もし「犬の健康のためには、飼い主側もできるだけ、ストレスを減らした方がいい」と聞いたら、皆さんはどう感じるでしょうか?
飼い主と犬の気持ちは「同期」する。
犬は人の気持ちをある程度、理解しているようだ、というのは犬と暮らす人であれば、少なからず感じたことがあると思います。実際に、犬と人間が見つめ合うことで、お互いの「オキシトシン」分泌が促進されます(菊水, 2017)。
「オキシトシン」はテレビや雑誌などでも、たびたび取り上げられます。そのため「なんか聞いたことある」という方も、多いはず。
「オキシトシン」はホルモンの一種。人間だけでなく、広く動物たちの間でも、古くから存在し続けているホルモンです。
「オキシトシン」のはたらき
人間の場合、「オキシトシン」は分娩時の子宮収縮、乳汁の分泌に関わることで知られます。こうした働き以外に、「他者との絆を形成する」「信頼関係を構築する」際に、「オキシトシン」が影響することが分かっています。
犬と人間が見つめ合うと、お互いに「オキシトシン」が分泌され、絆が深まる。
犬と人間は、種が違うにも関わらず、こうした特別な関係を築けます。これがオオカミが相手の場合、人間との間にはお互いに「オキシトシン」の分泌は起こりません(菊水, 2017)。
言い換えると、犬と人間はお互いに精神的に同期しやすいということ。でもそれは果たして、ポジティブな面だけなのでしょうか?
飼い主のストレスは、犬に影響する
実は、飼い主のストレスは犬に影響します(Lina S. V. Roth et al., 2019)。
犬と人間のストレスについて調査した動物学者のロス氏によると、飼い主がストレスを感じると、犬もストレスを感じることが明らかになっています。
犬がストレスを感じている場合はどうか?というと、人間がそれによって特にストレスを感じる証拠は見つからなかったとのこと。
言い換えると、人間のストレスは犬に影響する。でも、その逆は無いようだ、ということ。個人的には、犬にはちょっと不利というか、理不尽な関係性だなあ、と感じます。
犬のためにも、飼い主は楽しくすごそう
飼い主のストレスが犬にも同期する。そう考えると「飼い主は可能な範囲で、楽しく過ごす」のが、犬にとっては大事なのでは?と思います。
もちろん私たちの生活には、様々な困難や問題が、放っておいても湧いてきます。心配事がつきない、という時期もあるでしょう。
でもそのことが自分だけの問題ではなく、犬にも少なからず影響を与えている、ということを知ることが、まずは大切ではないでしょうか。
「そうか犬に影響するなら、犬のためにも自分自身のストレスを減らす、工夫をしてみようかな」
という気持ちにも、なれるというもの。
私がこのメールマガジンを通じて「香り」「アロマテラピー」をおすすめする理由もそれなのです。
犬と飼い主さんが、共に健康な毎日をおくれるように
「香り」は犬の心とからだを、健やかに保つのに役立ちます。でもそれは、犬だけのためではなく、飼い主さんの役にも立つのです。
飼い主さんのストレスが「香り」でほんの少し和らいだり、元気になれば、それはめぐりめぐって犬にも良い影響がある。
犬のことを考える際に、飼い主さんご自身の健康についても一緒に考えていただけると、とても嬉しいです。
参考
オキシトシンによるヒトとイヌの関係性(菊水健史, 2017)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/janip/advpub/0/advpub_67.1.1/_pdf
飼い主のストレスは愛犬に伝染 最新研究で判明(ナショジオニュース, 2019)
https://style.nikkei.com/article/DGXMZO46293970Z10C19A6000000/
【動物行動学】飼い犬と飼い主の長期ストレスレベルが同期している(nature asia, 2019)
https://www.natureasia.com/ja-jp/life-sci/research/12975
Long-term stress levels are synchronized in dogs and their owners(Lina S. V. Roth et al., 2019)
https://www.nature.com/articles/s41598-019-43851-x