コラム

犬の水分摂取を考える。手作りごはんの場合はどう?

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Office Guriの諸橋直子です。さて今回も前回に引き続き「犬の食事の水分量」をテーマにお届けします。

前回の記事でおさらいをしたい方はこちら

飲む水、食べる水。犬の水分摂取量を考える

前回はドライフードに含まれる水分量についてみてきました。今回は「手作りごはん」の場合について考えていこうと思います。

野菜の多くは9割が水。肉も約75%が水。手作りごはんは「水を食べるごはん」

手作りごはんは肉や野菜、米などを使って犬のために家庭で調理する食事です。

さてこうした犬のごはんに用いられる食材ですが、それらに含まれる水分量をご存知でしょうか?

以下、おおまかな食材の水分含有量です:

  • 野菜:9割
  • 肉:7.5割
  • 魚:7.5割
  • 炊いたごはん:6割

こうした状況を考え合わせると、手作りごはん重量の7〜8割は水分だといえます。これがスープ系のごはんだとさらに水分比率が高まります。

手作りごはんがいかに「水を食べるごはん」であるかが、お分かりいただけると思います。

よくドライフードから手作りごはんに切り替えた飼い主さんがびっくりするのが

「手作りごはんってこんなに量が多いの!?」

という点です。

これも水分量から説明ができます。ドライフードは水分が少ない分、みっちりカロリーと栄養が詰まっているタイプの食事です。そのため軽量で、見た目のカサ=体積も小さめ。

一方で同じ分のカロリーを手作りごはんで摂取しようとすると当然水分含有量が多い分、量が増えます。手作りごはんがすごくボリュームがある!と驚かれるのはこのためです。

このことからわかるように、手作りごはんは食べるだけで多くの水分が摂取できます。

「手作りごはんに変えたら、水を飲む量が減った」

というお声がよく聞かれますが、食事からたっぷり水分を摂っているので「飲水」という形で飲む量が減るのは自然なことです。

また

「おしっこの量が急に増えた!」

という現象も、水分摂取量が増えたことを考えると当然のことです。

ただし尿量の急激な増加には病気が原因のものも含まれる場合があります。飲んでいる以上に出ている、急に痩せてきたなど、いつもと違う様子が見られる場合はできるだけ早く動物病院を受診してください。

十分な水分を摂ることのメリット

水は生命維持に欠かせない大事な栄養素です。

水はカロリーもないため「栄養素」というと違和感を感じる方もいるかもしれませんが、栄養学上は大切な栄養素のひとつとして扱われます。

水分摂取が十分であることは、犬の健康上のメリットをもたらします。尿量が増えることにより、尿結石や膀胱炎の予防になります。

たっぷりのおしっこで尿道を洗い流す事は、尿道を感染症から守ります。また尿が濃くなりすぎないことで、結石を防ぐことにもつながります。

水分が十分体に行き渡っている状態は犬の皮膚や被毛の健康にもつながりますし、粘膜が十分な水分で潤っていることは感染症予防に有効です。

ビタミンなどの機能が明確で人々を惹きつける栄養素と比べて、普段あまり注目を浴びない存在である水ですが、この機会のその重要性を知っていただければと思い今回テーマとして取り上げることにしました。

ところで

「手作りごはんが水分豊富でいいのはわかったけど我が家はドライフード。しかもうちの犬は水を飲むのがあまりすきでないので、そういう時はどうしたらいいですか?」

と感じている皆さんも多いと思います。

なので次回はドライフードを主食にしている犬たちにおすすめな、手軽な水分摂取法についてご紹介していこうと思います。

ぜひ楽しみにしていてください。

この記事は犬の健康基礎情報を学ぶ「ぐり通信」のバックナンバーです。
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