犬の手作りごはん栄養学

犬の食事に魚(3)EPA、DHAから「脂肪酸」を知ろう

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

Office Guriの諸橋直子です。

犬の手作りごはんに魚を利用するメリット」シリーズ。今回は栄養学の視点から込み入った話を書こうと思います。

少々とっつきにくいかもしれませんが、栄養学の視点で基礎的なことを知っておくと今後犬のための食事選び(手作りごはんに限らずフード選びでも)に役立ちます。

これまでの過去記事はこちら:

犬の手作りごはんに魚(1)調理のハードルを下げる方法3つ
犬の手作りごはんに魚(2)高タンパク、低カロリーな魚は老犬に特におすすめ

魚といえばやっぱりこれ!「EPA」「DHA」の話

というわけで犬の手作りごはんに「魚」を推す理由は、やはり「EPA」「DHA」です。

青魚に多く含まれ、何となく体に良いものという認識をしている方も多く、名前を聞いたことある!という読者の皆さんもいらっしゃることでしょう。

ところで「EPA」「DHA」って何なのでしょうか?

こう聞かれると「そういえば…何なんだろう」と考え込む方も多いと思います。

そもそも「EPA」「DHA」って何なの?という話から

EPA」「DHA」はいずれも「脂肪酸」と呼ばれる物質です。では「脂肪酸」とは何なのでしょうか?

脂肪酸」は、脂質を構成する成分の一種です。多くの種類があり、脂質の性質を決める上で重要な役割を担っています。

例を挙げると常温で固体かまたは液体か、酸化しやすいか、しにくいか、といった性質はどんな「脂肪酸」を多く含むか?によって決まります。

バターは常温では個体ですが、オリーブオイルやキャノーラ油は液体ですよね。これは含まれる「脂肪酸」の違いによるものです。

「脂肪酸」には「飽和」と「不飽和」がある

さて、そんな「脂肪酸」は構造の違いから

  • 飽和脂肪酸
  • 不飽和脂肪酸

に分類されます。

飽和脂肪酸は肉類や乳製品に多く含まれ、酸化しにくい性質を持ちます。一方で不飽和脂肪酸は植物油や魚の油に多く含まれ、酸化しやすい性質があります。

さらに不飽和脂肪酸は一価と多値に分類され、多価不飽和脂肪酸は「n-6系」、「n-3系」などに分類されます。

話が少し込み入ってきましたが、ここでは

「脂肪酸にも色々種類があり、酸化しやすい、しにくいなどそれぞれ特徴があるんだな」

くらいの認識でOKです。

脂肪酸はその種類により、体に様々なメリットをもたらします。しかしながら、どんなものも摂りすぎるのはやはり良くありません。飽和脂肪酸がエネルギー源として優秀ですが、摂りすぎると血中の脂質バランスの崩れを招きます。

どんなものでも適量が大切なんですね。

さて、今回私たちが注目しているのは

  • EPA
  • DHA

でした。

EPAとDHAはn-3系の多価不飽和脂肪酸です。

ではこの「n-3系多価不飽和脂肪酸」はなぜ注目されているのでしょうか?これについて引き続き解説していきます。

「n-3系多価不飽和脂肪酸」が注目される理由

簡単にいうと、血管の炎症抑制作用中性脂肪低下作用が期待できるからです。

そのため「青魚は健康にいいので摂りましょう」というような言い方がされます。

ここで注意したいのが、「n-3系多価不飽和脂肪酸」である「EPA」や「DHA」が単純に「体に良いから摂りましょう」的な扱いで終わらされがちな点です。

これだと、「体に絶対必要なわけではない、補助的な栄養素」と誤解されてしまう可能性が高いです。

タンパク質やカルシウムなどは栄養素の中でも特に注目を浴びるので不足するのは良くないし、健康上影響がありそうだ、と多くの方が感覚的に理解されていると思います。

一方で、「脂肪酸」はどうでしょうか?

脂質」=「高カロリー

であるため、脂質は正直敬遠されがちですよね。

しかしながら、私たち人間や犬たちは健康を維持するために適切な量の脂質を必要としています。これは言い換えると、脂質の中に含まれる様々な「脂肪酸」を必要とすることを意味します。

そして「脂肪酸」の中には、私たち人間や犬たちにとって必要なものだけれども体内で作ることができない、または作れたとしても量が限られるため「必ず食事から摂取する必要のある脂肪酸」なるものが存在します。

これを「必須脂肪酸」と呼びます。

ではこの「必須脂肪酸」と「EPA」「DHA」がどう結びつくのでしょうか?

これについて、次号で引き続き解説していこうと思います。

犬の手作りごはん初心者ガイド、無料配布中

犬の手作りごはんに興味のある方、これから始めてみたい方向けの電子書籍を無料配布しています。こちらよりご請求ください。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加