犬の管理栄養士、Office Guriの諸橋直子です。バレンタインが近づいてきました。犬はチョコを食べられないのでバレンタインとは無縁…というのもなんだか寂しい。そこで『犬用いちごケーキ』を作ってみた様子を動画にしました。フライパンで簡単にできるので、興味のある方はやってみてください。
動画の後半で、栄養についての解説、なぜ犬にチョコレートはダメなのか?をお話しています。
今回の動画では「豆腐で作るクリーム」を採用しています。これがマスターできると、犬のお誕生日ケーキなども自宅で手作りできるようになります。
楽しみの幅がぐっと広がるので、是非参考にしてくださいね。
というわけで、今回は「豆腐でわざわざクリームっぽいものを作る理由」をお話ししようと思います。
「豆腐クリームって何?」水切りした豆腐で作る生クリームの代用品です。
「豆腐クリーム」と聞いて「何ですかそれ??」と疑問に思う方も多いと思うので解説します。
普通、デコレーションケーキといえば生クリームですよね。でも世の中には乳製品にアレルギーがあり、食べられない方もいらっしゃいます。また様々な理由でカロリー制限をしている人もいます。
そういう人たちのために、何か代用品を使って美味しいケーキができないか?という試行錯誤の末生まれたのが「豆腐クリーム」です。水切りした豆腐をフードプロセッサーでなめらかにし、甘味を加えて作ります。
見た目はかなりクリームっぽいです。
ちなみにこちらは犬用ケーキを豆腐クリームでデコレーションしたものです。ぱっと見、豆腐のクリームだと言われなければわかりません。
では実際のところ味はどうなのか?と言われれば、そこはやっぱり「豆腐」です。ですが個人的にはお豆腐が大好きなのと、やさしい味わいがツボにハマりました。(犬用に作ったケーキですが、人間も試食しました)
ダイエット中だけど、どうしてもケーキが食べたい!というときには、豆腐クリームのケーキだとカロリーが半分程度になるのでとても良いです。自分のおやつ用に作るのも良いかも、という点で豆腐クリームは「あり」です。
そしてこの「美味しいし、ヘルシーである点」が犬用ケーキに向いています。
では「豆腐クリーム」は「生クリーム」と比べてどうヘルシーなのでしょうか?
- カロリー
- 脂質
- タンパク質
- 炭水化物
の4点で比較していきたいと思います。
圧倒的カロリー差で「豆腐クリーム」はヘルシー。理由は「低脂肪」
今回は300gの木綿豆腐を水切りし、240g程度まで水分を除きました。水分を切った状態の100gあたりで比較します。加える甘味の種類と量でカロリーが変わるので、甘味を加える前の状態で考えていくことにします。
というわけで:
【豆腐クリーム100gあたり】
- エネルギー:91kcal
- 脂質:6.1g
- タンパク質:8.7g
- 炭水化物:1.9g
これに対し、牛乳を原材料としたホイップクリームで比較してみます。
【ホイップクリーム100gあたり】
- エネルギー:409kcal
- 脂質:40.7g
- タンパク質:1.8g
- 炭水化物:12.9g
*豆腐クリーム、ホイップクリーム、エネルギー計算出典:
『八訂 食品成分表2021 女子栄養大学出版部』
カロリーの比較では圧倒的に豆腐クリームが低いのをはじめ、脂質も豆腐クリームの方が顕著に少ないです。炭水化物も豆腐クリームはホイップクリームと比較して少ないです。その一方でタンパク質は8.7gとホイップクリームの約4倍。
ホイップクリームは人間向けの楽しみとしてのおやつとしては優秀です。しかしながら犬のおやつとして考えた場合、非常に高カロリーとなります。特に犬の場合、犬種によって体重が様々です。
例えば超小型犬に分類されるカニンヘンダックスフンドでは、平均体重が4.5kg〜5kg程度です。10歳の去勢・避妊済み体重5kgの犬の場合、一般的な1日のエネルギー要求量は345kcalです。
ホイップクリーム大さじ1を約15gとして計算すると61.3kcal。これだけで1日のエネルギー要求量の約17%に相当します。
犬の健康を考えた場合、1日のエネルギー要求量を大幅に超えない範囲でおやつと食事量を調整するのが理想です。
そうなるとカロリーの高いおやつを食べた場合、食事を大幅に減らさなければなりません。でもこれだと本末転倒です。
おやつはあくまでも「お楽しみ」の範囲内におさめ、食事からは健康維持のための栄養素を、バランスよくしっかりと摂る。そのためにも、おやつのカロリーはほどほどに抑えたいところ。
その点「豆腐クリーム」は低脂質、低カロリー、高タンパクの3つの要素をクリアしてくれます。また「クリームっぽいもの」が扱えるようになると、犬のおやつの楽しみも広がります。今回の動画のように、デコレーションケーキなどハレの日のおやつも自宅で作成可能です。
重ねていうと、犬は一度に大量の脂質を摂取すると下痢などの胃腸トラブルのほか「急性膵炎」という重篤な病気を発症するリスクが高まります。「急性膵炎」はなんらかの理由で膵臓から分泌される消化酵素が活性化され、膵臓自身を消化してしまう疾患です。
はっきりした原因は明らかになっていませんが「高脂肪食」が原因の一つとして考えられています。そのため高脂肪なホイップクリームを犬のおやつに使用するのは避けたいところです。その点「豆腐クリーム」は低脂肪をクリアしているので、安心して使用できる材料といえるでしょう。
というわけで今回は「豆腐クリーム」を使った犬のおやつについてご紹介しました。
動画では作り方、概要欄で材料の分量をご紹介しています。ぜひバレンタインのお楽しみとして、作ってみてくださいね。