犬の手作りごはんの栄養学を学びたい方向けの記事です。6大栄養素(糖質・脂質・たんぱく質・ビタミン・ミネラル・食物繊維)の基本についてシリーズで解説していきます。今回は糖質についてです。
栄養とは?という基本中の基本を学びたい方は、こちらの記事も併せて参考にしてください。
糖質とは?
私たちが食事をして「甘み」を感じる食べ物には「糖質」が含まれています。
糖質は私たちの体の中でエネルギーに変えることができる栄養素です。1gあたり4kcalのエネルギーとなります。
エネルギーに変えることができる三大栄養素(糖質・脂質・たんぱく質)の中で最もエネルギーに転換しやすいのが糖質です。
摂取されてから最も早くエネルギーに転換でき、即効性があります。体を動かし、脳のエネルギー源となります。犬も糖質をエネルギーとして利用しています。
糖質を多く含む食品
糖質は以下の食品に多く含まれます。
穀類:米・パン・うどん・蕎麦
いも類:さつまいも・じゃがいも
果物:バナナ・りんご
*「犬に果物を与えてもいいんですか?」という方は、下記の記事も併せて参考にしてください。
糖質の消化・吸収
「犬に糖質を与えるのは体に良くない」という説がありますが、誤りです。
糖質は犬に害になるものではありません。犬も糖質を問題なく利用できますし、脳や筋肉を動かすのに最適な糖質は犬にとって必要な栄養素です。
糖質への誤解 | がんとの関連
糖質を食べるとがんになる、または現在がんを患っている場合は糖質を与えるとがんの栄養になるため制限すべきという説もありますが、いずれも間違いです。
がんの原因は複雑で、遺伝、環境、ウイルス感染など様々な要因が絡み合って発症します。糖質を食べることが直接がんの原因になるような説は明らかな間違いです。鵜呑みにしないようにしましょう。
糖質制限ががんに有効であるかのような記述も誤りです。がん細胞は確かに糖質をエネルギー源として利用しますが、正常な細胞も同様にエネルギー源として糖質を利用します。
全身に酸素を運ぶ大切な役割を果たす「赤血球」も糖質をエネルギーとして活動しています。
極端な糖質制限は正常な細胞のエネルギー源まで制限することにつながり、病気と戦わなければいけない状態の体にとって望ましくありません。
また、糖質が不足すると体は体内のたんぱく質を分解して「糖」を生み出そうとします。この現象を「糖新生(とうしんせい)」と呼びます。
体内でたんぱく質を多く貯蔵するのは筋肉です。筋肉が分解され糖に変えられるため、筋肉が痩せていきます。これは健康上のデメリットと言えます。
病気の際の食事制限は、根拠のはっきりしない情報を参考に参考にすることはおすすめしません。適切な栄養学の知識、担当獣医師のアドバイスなどを参考に慎重に行うことが大切です。
糖質の代謝
犬の口から摂取された糖質は消化管で分解され「グルコース(ブドウ糖)」という形に分解され、小腸から吸収されます。
グルコースは血液に乗って全身の細胞にエネルギーとして送り届けられます。細胞に取り込まれてエネルギーとして利用されるほか、余剰分は脂肪細胞に脂肪として蓄えられます。
また、肝臓と筋肉には「グリコーゲン」という形で貯蔵されます。
糖質が不足すると?
体が疲れやすくなり、エネルギー不足の状態に陥ります。
糖質をエネルギーに変えるためにはビタミンB1の存在が必須です。そのため、いくら糖質を摂ってもビタミンB1が不足していると、せっかくの糖質をエネルギーに変えることができず、疲れの原因となります。
糖質を犬に与える際は、必ずビタミンB1とセットでメニューを組むことが手作りごはんでは大切です。
ビタミンB1は穀物の外皮、豚肉に豊富です。
糖質を過剰摂取すると?
過剰に摂取された糖質は体脂肪として蓄えられます。そのため、肥満につながりやすく注意が必要です。
犬の手作りごはんで「糖質」は、どの程度与えれば良い?
手作りごはんでは、初心者の方は「肉(魚):糖質:野菜類=1:1:1」の比率を量の目安にするのがおすすめです。
糖質についてのまとめ
手作りごはんの初心者が、糖質について知っておくべきことは以下の内容です。
- 糖質はすぐに利用できる効率の良いエネルギー
- 犬も糖質を問題なく利用できるので、食事に加えて良い
- 糖質の量は「肉(魚):糖質:野菜類=1:1:1」を目安に
- 糖質をエネルギーに変えるビタミンB1の摂取も忘れずに
糖質について基本事項は理解できましたか?
手作りごはんの初心者向けに、基礎知識、注意点をまとめた電子書籍を無料配布中ですので、必要な方は参考にしてください。