犬の管理栄養士、Office Guriの諸橋直子です。
今回は「秋の乾燥から喉や鼻の粘膜を守る栄養素」についてご紹介しようと思います。
秋は人も犬も、空気の乾燥の影響を受けます。そのため呼吸器のトラブルにみまわれがちに。
そこで今回はそうしたトラブル防止に役立つ栄養素をご紹介しようと思います。ぜひ手作りごはんやおやつなどで取り入れてみてください。
粘膜の健康に欠かせない「ビタミンA」を摂ろう
「ところでなぜ粘膜の話なの?粘膜の健康が風邪予防にどうして大事なの?」
そんな疑問を持たれた方もいると思うのでそこから解説していきます。
なぜ粘膜の健康が大事なのでしょうか。
実は「粘膜」というのは私たちの体を守る上で重要な役割を担っています。
喉や鼻などの呼吸器の表面を覆う粘膜は、私たちの体にウイルスなどの病原体が侵入するのを防いでくれています。
呼吸器以外では、腸の粘膜も食物に付着した雑菌などが体に侵入しないよう守ってくれています。
こうした大切な働きをすることから、これらは特に「粘膜免疫」と呼ばれて区別されています。
インフルエンザや風邪などの病気は、呼吸器の粘膜にこれらの病原体が感染しておこります。感染しないためには粘膜が健康で十分な潤いをキープしていることが、条件のひとつです。
もし粘膜が乾燥し、十分な免疫機能を発揮できなくなると風邪などの諸症状を起こしやすくなります。
そこで積極的に取り入れたいのが
- ビタミンA
粘膜といえばビタミンAというくらい、粘膜の健康維持に真っ先に挙げられる栄養素です。ではビタミンAはどのように摂取したら良いのでしょうか?
「にんじん」や「かぼちゃ」など、β-カロテンでの摂取がおすすめ
ビタミンAを多く含む食材の代表は「レバー」ですが、犬には「にんじん」や「かぼちゃ」など、β-カロテンでの摂取をおすすめします。
レバーは確かにビタミンAが豊富で優秀なのですが、ビタミンAの過剰摂取が心配される食材でもあります。
ビタミンAは多く取りすぎると過剰症が心配される栄養素のひとつです。
実際のところ滅多なことで過剰症は起こらないのですが、レバーの種類によってはかなり含有量が多いため一切れであっという間に犬の1日の所要量を超える、なんていうことも起こりがちです。
このあたりは別記事に詳しく解説してあるので、気になる方はこちらを参考にしてください。
ではなぜβーカロテンでの摂取がおすすめなのでしょうか?
β-カロテンは犬や人間の体内で「必要に応じて」ビタミンAに変換されます。この「必要に応じて」というところがポイントで、このため過剰症の心配がありません。
さらにβ-カロテン自体に強い抗酸化力が備わっており、その点でも犬におすすめの栄養素です。
β-カロテンはにんじん、かぼちゃなどに多く含まれています。
手作りごはんにこれらの野菜を利用することで手軽にビタミンAを摂取できます。
手作りごはんではない場合でも、茹でたにんじんを細かく刻んでフードにトッピング、かぼちゃはポタージュにしておやつがわりに食べさせるのもおすすめです。
特に今時期は、かぼちゃもにんじんも収穫期でたくさんスーパーに並ぶため入手もしやすいです。
ぜひ犬たちの風邪予防に、おいしくビタミンAを取り入れてみてください。