犬の皮膚トラブルについて、初心者向けに解説していきます。今回はのテーマは「マラセチア感染症」です。
マラセチアとは?
マラセチアは酵母の一種です。
酵母というのは私たちにとって身近な存在です。パンを発酵させ膨らませるのも酵母です。お酒を発酵させアルコールを作るのも酵母です。
マラセチアは犬の皮膚や耳道(いわゆる耳の穴。耳の入り口から鼓膜までの管状の部分を指す)に正常な状態でも存在する、皮膚の常在菌の一種でもあります。
普段は皮脂などを栄養として、おとなしく暮らしています。このマラセチアが様々な理由で過剰に増殖することで、犬の皮膚や耳の炎症などのトラブルを起こします。
これが「マラセチア症」と呼ばれる病気です。
マラセチア症の原因
マラセチアはすでに述べたように、犬の皮膚にいるごくありふれた菌です。普段はおとなしく、悪さをすることはありません。
ところが、マラセチアが過剰増殖できるような環境が整ってしまう場合があります。代表的なのは以下のケースです。
- アトピー性皮膚炎
- 食物アレルギーによる炎症
- ノミアレルギーによる炎症
- 接触性皮膚炎
- 皮脂の過剰な産生
マラセチアが耳道で過剰に増殖すると、耳垢が過剰に分泌され、耳の中が湿った状態が続きます。これによって外耳炎、内耳炎が起こります。
漏脂症の犬はマラセチア感染症にかかりやすい
漏脂症により、皮脂の分泌が過剰になった犬はマラセチア感染症にかかりやすいとされています。詳しくは下記の「漏脂症」についての記事も参考にしてください。
症状
マラセチア外耳炎の犬は
- 頭を振る
- 耳を掻く動作
- 湿った耳垢が増える
- 耳を痛がる
などの症状がみられます。
こうした症状がみられる場合は、早めに動物病院を受診しましょう。
また、マラセチア感染症は夏などの高温多湿な時期に多発し、冬まで続く傾向にあります。
治療
動物病院では抗真菌薬の利用、シャンプー療法が行われるのが一般的です。獣医師とよく相談し、適切な治療を行うことが大切です。