犬の管理栄養士、Office Guriの諸橋直子です。昨日は「わらさ(*)」1kgのアラが108円の投げ売りになっていたので、買ってきてダシを取りました。
*わらさ:ブリの別名。小型のものを指す。
イワシのつみれと合わせて犬たちのスープごはんにしたので、近日動画でご紹介予定です。
というわけで今回も「スープ」の話。
前回の記事はこちら:
老犬にも、元気な犬にも「スープのすすめ」(1)| 犬に手作りごはん
スープでの栄養摂取は、特に老犬や病気の時におすすめ!
少し間があいたので簡単に前回の記事を振り返ります。
- スープは水分が多く消化しやすくお腹に優しい
- たっぷりの水分は尿結石や膀胱炎予防にも良い(理由は別の回で改めて解説予定)
- スープ自体が栄養豊富である
1、2については前回触れたので、今回は
「3:スープ自体が栄養豊富である」
について解説していきます。
本題に入る前に「スープ」→「スープ」と「ポタージュ」って違うの??
これから「スープ」について話していきますが、「スープ」がそもそも何を指すのか?について、みなさんとの共通認識を確認しておこうと思います。
「スープ」とひとくくりに言っても、読者の皆さんが思い浮かべるスープはそれぞれ違うと思います。
例えば「コンソメスープ」のように透き通ったタイプを思い浮かべる人もいれば「コーンポタージュ」のように、不透明でとろみのついたタイプが頭に浮かぶ人もいます。
「卵スープ」のように透明でとろみのついたものをイメージする方もいますよね。
私たちはおおまかに
- とろみのあるもの→「ポタージュ」
- とろみのないもの→「スープ」
と区別することが多いですが、フランス料理では汁物全般のことをポタージュと呼んでいます。
なのでスープの本を買ってきて読んでいると、とろみのあるレシピもそうでないものも載っています。
ここではとろみのあるもの、ないもの全部をまとめて「スープ」と呼び、とろみのあるものについては特に「ポタージュ」と明記してわかりやすく解説することを心がけたいと思います。
さて、そんな「スープ」ですが「栄養が豊富」というのが犬におすすめなポイントです。
全年齢の犬たちにおすすめですが、特に
- 子犬
- 老犬
には積極的に勧めたいメニューです。
この「スープの栄養」について引き続き解説していきます。
「スープ」に溶け出た栄養をまるごといただける。滋養あふれるスープで犬たちの健康を守ろう。
スープには実は、たくさんの栄養が溶け込んでいます。
溶け込んでいる栄養素その1「ヨウ素」
例えば、昆布を使って出汁をとった場合、その中に多くのミネラル類が溶け出します。その中で特に多いのが「ヨウ素」です。
「ヨウ素」は犬にとって大切な栄養素です。甲状腺ホルモンの材料になるほか、糖質、脂質、タンパク質などのエネルギー代謝を活発にする働きを担っています。
成長を促し、皮膚や被毛を健康に保つ役割もあります。
実は「ヨウ素」は世界的に見ると不足が起こりやすいミネラルです。山岳部や内陸部などで、土壌に「ヨウ素」が少ない地域だと深刻な「ヨウ素不足」に陥るケースもあります。
一方日本では昆布をはじめ、海藻類を多く摂る食生活のため不足することはほぼありません。犬たちも「ヨウ素」を多く含む昆布や魚介類を口にすることで必要量を摂取できます。
中でも「昆布出汁」は飲むだけで手軽に摂取できるのでとても便利です。
溶け込んでいる栄養素その2「ビタミンC」
また、栄養素の中には「水に溶けやすい」性質を持つものが多くあります。「水溶性ビタミン」はその代表です。
抗酸化作用、血管の健康維持に役立つ「ビタミンC」は水溶性ビタミンです。ストレスを感じると大量に消費されるビタミンでもあるため、日々の食事からしっかり摂りたいビタミンでもあります。
野菜や果物に多く含まれますが「水に溶ける」性質を持つため、調理法によっては大量に失われる場合があります。
例えば「ブロッコリー」は「ビタミンC」が多い野菜の代表ですが、茹でることで「ビタミンC」が茹で汁に溶け出します。茹で汁は通常捨ててしまうため一緒に「ビタミンC」も捨てられてしまいます。
もちろん、だからといってブロッコリーのビタミンCがゼロになってしまうわけではありません。
しかし
「せっかくの栄養素なので、できるだけ無駄なく犬に食べさせたい!」
という場合、スープにして汁ごといただくのがおすすめです。
「ポタージュ」は「たべるスープ」として、老犬の食事や病気の回復食にもおすすめ!
透明のさらさらとしたスープと違い、とろみのある「たべるスープ」が「ポタージュ」です。
「ポタージュ」は野菜や米などをブレンダーなどで撹拌したスープです。食材がまるごと食べやすいとろみ状になっているため、老犬の食事や病気の回復食におすすめです。
特に最近
「老犬のごはんに何を食べさせてよいか分からず困っている」
というお声をよくいただきます。
元気な老犬であれば、通常の食事でも問題ありませんが
- 飲み込む力が弱ってきた
- 食事を食べにくそうにしている
- お腹が弱くなって、通常の食事だと胃腸のトラブルが多い
という場合、「ポタージュ」はお役に立てるメニューです。
というわけで、次回は老犬や病気の回復時におすすめの「ポタージュ」をご紹介していきます。この記事はメルマガ「ぐり通信」で配信したもののアーカイブです。最新号を受け取りたい方は無料メルマガへご登録ください。