Office Guriの諸橋直子です。全国的に気温が上がり、マダニの活動シーズンがスタートします。マダニといえば、犬の防虫対策がまっさきに思い浮かぶ方も多いと思いますが、近年マダニによる感染症は「人間でも」死亡例があるのをご存知でしょうか?
高い致死率 マダニ媒介感染症「SFTS」東進拡大 ペット通じた感染も
マダニに刺されたペットから、ヒトへの感染も報告されています。
そのためこれからは「犬とヒトの健康と安全のために、両者をマダニから守る対策」が必要です。
というわけで、今回はこのマダニ媒介感染症「SFTS」について解説します。
ぜひみなさんの愛犬と、みなさんご自身の安全と健康のために参考にしてくださいね。
マダニは怖い!?マダニ媒介感染症「SFTS」を知ろう
「SFTS」ってそもそも何?
という方も多いと思うので、まずここからお話しします。
「SFTS」は「重症熱性血小板減少症候群」の略称です。マダニに噛まれることで感染するウイルス性の感染症で、発熱、消化器症状(嘔気、嘔吐、腹痛、下痢、下血)などが見られます。
発症後の致死率は10~30%程度です。
季節性インフルエンザの60歳未満致死率が0.01%であるのと比較すると、非常に高いと言えるでしょう。
「え!マダニに噛まれるだけで、そんな怖い病気に感染することがあるの??」
とびっくりされた方もいるかもしれません。
そうなのです。そしてこの感染症は、昨年だけでも133件の感染者数が報告されています。
「日本の人口が1.2億人と考えると、そう多い数でもないんじゃない?マイナーな感染症だよね?」という捉え方も、もちろんあります。
しかしながら致死率の高さを考えると、この病気についてできるだけ多くの人たちが知り対策を行うことが重要です。特に私たち犬の飼い主は、犬との暮らしを通してマダニに接触する機会がとても多いです。
なのでまずは「こうした感染症がマダニによってもたらされる事実」を知り、「正しい対策、そして予防」が求められます。
「SFTS」についてさらに詳しく知りたい方はこちらも参考にしてください。
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)について | 厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000169522.html
では「SFTS」予防のカギを握る「マダニ対策」はどのように行えば良いのでしょうか?
【1】マダニの生息場所を知ろう
マダニはどこに住んでいるのでしょうか?
マダニは「野生動物が多くいる環境」に住んでいます。
ちなみにOffice Guriのある場所は北海道札幌市の中でもかなり戻りが豊かな地域です。さらにいうと、
- ヒグマ
- キタキツネ
- エゾシカ
なども生息しており、当然ですがマダニも高確率で藪の中に潜んでいます。
そのためこれからのシーズン散歩は特に気を遣いますし、散歩後は犬の全身をくまなくチェックします。草むらには絶対顔を突っ込ませませんし、散歩の場所も自然豊かな山などには行きません。
というのも以前そういうことを知らずに山へいき、犬の身体の表面をダニがささささささーーー!と走るの見て慌てて引き返した経験があるからです。
(幸い、その時は噛まれませんでした。危なかった)
野生動物が近所にいないからといって安心もできません。畑や裏庭、畦道などにもマダニは生息しています。
余談ですがお住まいの地域のマダニ情報は、かかりつけの獣医さんに聞くのがおすすめです。
私は毎シーズン、ワクチン接種やフィラリア投薬開始の時期に必ず獣医さんに「今年のマダニ状況はどうですか?」と尋ねています。
獣医さんはマダニに噛まれた犬たちを春になると多く診ることになるので、どの辺にマダニがいて噛まれたという情報をたくさん持っているんですよね。
私はそれを参考に、ここは気をつけよう、この山はやばい(ダニに宝庫と呼ばれている山が実は近所にあります)など、散歩で絶対行かないリストを頭の中で作成しています。
ぜひみなさんも、ご近所のマダニ情報を収集してみてください。
【2】マダニ対策、飼い主さんは服装に注意!
夏場は熱中症のリスクも上がるため、できるだけ軽装を心がけたいですが「マダニ対策」を考える場合、肌の露出ができるだけ少ないのが望ましいです。
これからの季節、ここは悩みどころですね。
マダニの多い地域に行く場合、長袖、長ズボン、長靴が基本です。さらにズボンの裾は長靴に入れる、手袋を装着し、シャツの袖口を入れる。
そうしないと隙間からマダニが入り込み、腕や足、さらにはお腹などを噛まれる場合があります。
飼い主さん自身が身を守るためにも、服装には特に注意ですね。
【3】マダニに効果的な防虫剤を有効活用しよう
そして最終段階、防虫剤の利用です。
市販の忌避剤、虫よけスプレーは数多くありますが、人間用のものを犬にそのまま利用して良いものか?と悩む方も多いでしょう。
そのため次回の記事では、犬のための忌避剤、虫よけスプレーの「成分」についてお話ししていこうと思います。
どうぞお楽しみに。