犬の薬膳についてシリーズで解説しています。今回は薬膳の基本である「食物は薬である」という考え方について書きます。
前回の記事はこちら。
薬膳では食べ物は「食べる薬」=「食薬(しょくやく)」
夏になるとキュウリ、西瓜などの夏野菜や果物が出回り始めます。
薬膳では西瓜にも穏やかな薬効を認めています。
西瓜には身体の熱を冷まし、喉の渇きやほてりを鎮める効果があるとされています。利用作用もあるとして薬膳では夏に食べることを勧めています。
キュウリも同様に、熱を冷まし喉の渇きを癒して利尿効果のある食材として薬膳では取り扱われます。
薬膳では「普段口にするものに穏やかな薬効がある」という考えを基本としています。
薬膳では「季節」を重視し、体調管理に生かす
薬膳ではその季節に旬を迎える食材が、その季節特有の体調不良の予防になると考えます。
例えば、夏は気温が上がり体がほてりやすくなります。熱中症など「暑さ」が原因の体調不良が起こりがちです。
こうした「季節」が原因となる体調不良の予防に、食物の持つ薬効を利用するのが薬膳の基本です。
例えば、キュウリは水分を体に補うと同時に、火照りを沈め、体の熱を冷ます、と薬膳では考えます。そのため夏にはキュウリを食べることを薬膳では勧めています。
同様に、スイカも体の熱を冷まし水分を補います。また暑さで消耗した体力を補うのに、スイカに含まれる糖分は最適です。
薬膳では食物一つ一つにこのような薬効がある、ということを個別に定めています。そうした薬効は、現代の栄養学の視点から見ても理にかなっていることが多くあります。
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薬膳で使うのは「普段使いの食材」
薬膳の基本は「食物の持つ穏やかな薬効を利用すること」です。決して特別な漢方薬の生薬を使う、特別な調理法を用いるわけではありません。
普段使いの食材の薬効を知り、体調に合わせて普段の食事からその薬効を取り入れること。これが基本です。
薬膳は特別な材料を用いた特別な食事ではない。普段使いの食材を用いて、季節の変化やその時々の体調に合わせることで健康を守る食事である。
このポイントを今回の記事ではご理解いただければ幸いです。